小説
会話なんて簡単だ。コンバイルもないし、エラーも出ない。ましてやそれが顔も知らない文字だけでのやりとりともなれば。
朝起きると僕は世界の真理だった。
世界は一面砂に覆われている。日が射す公園で見るものよりも砂の色がひどく濃い。見渡す限りの灰色の砂。広大で寂寞とした砂漠の片隅、私はそこにいる。 これは夢、私はそれを思い出す。
だからこれは音楽の物語だ。
「高層ビルから見る虹は、地上から見る虹よりも奇麗なの。」と言って笑ったのは彼女だった。僕はそれを思い出す。今日も空には珍しく虹が出ている。カーテンを明けっ放しにした窓にはスペクトルが七色を示している。あの日、あの時、あの瞬間と同じように。
西暦3000年、地球の支配者は人ではない。